タカイ ヤスシ   TAKAI Yasushi
  高井 泰
   所属   埼玉医科大学  医学部 総合医療センター 産婦人科(産婦人科、総合周産期母子医療センター産科)
   職種   教授
論文種別 学術雑誌(原著)
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 産褥4日目に突如心停止し,診断に苦慮した肺高血圧症の1例
掲載誌名 正式名:埼玉県医学会雑誌
ISSNコード:03890899
掲載区分国内
出版社 埼玉県医学会
巻・号・頁 57(1),199-202頁
著者・共著者 ◎清水 元治, 鮫島 浩輝, 志村 暢紀, 江良 澄子, 赤堀 太一, 矢部 慎一郎, 松永 茂剛, 長井 智則, 齋藤 正博, 菊池 昭彦, 高井 泰
発行年月 2023/01
概要 肺高血圧症に起因する妊産婦死亡率は1998年の報告では38%と報告されており,その後10年間の調査では28%と報告されている.今回我々は産褥4日目に突如心停止し,精査の結果,肺高血圧症と診断したが,末梢の肺塞栓症以外に明らかな原因を特定できず,重篤な転機を辿った一例を経験したので報告する.症例は28歳女性,4妊3産.既往歴に下肢静脈瘤あるが加療なし.前3回の妊娠経過に特記事項なく,経腟分娩となっている.今回の妊娠は近医で妊娠健診施行するも異常なく経過し,妊娠39週4日に経腟分娩となった.産褥4日目に意識不明状態で発見され,その後心停止し,心肺蘇生されながら当院へ救急搬送となった.当院へ救急搬送後の造影CTでは末梢肺動脈に血栓が散在するものの,本幹に明らかな所見なし.冠動脈カテーテル検査で,肺高血圧症を認めたが,その原因は特定できなかった.対症療法で肺高血圧症は改善するも低酸素脳症のため脳死状態となった.その後循環動態は安定したため,療養病院へ転院となった.本症例は精査を行うも,末梢肺動脈に血栓があること以外には肺高血圧症の原因となりうる所見がなく,肺塞栓症による肺高血圧症,心停止の可能性が考えられた.一般産科診療所では造影CT撮影などは不可能であり即座の診断は困難であるが,肺塞栓症を否定できない母体急変時には,初期対応として心肺蘇生と並行して直ちに抗凝固療法の開始も検討するべきであると考える.(著者抄録)
文献番号 2023111039